2009年 10月 12日
メアリー・ブレア展
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「メアリー・ブレア展」(東京都現代美術館)、会期終了間際の10月4日すべり
込みで見てきました。
日本で2006年~2007年にかけて東京都現代美術館をはじめ全国各地で開催された
「ディズニー・アート展」の中で、メアリーブレア作品の一部が紹介され、
もっと彼女の作品が見たいという声が数多く寄せられました。
親族やウォルト・ディズニー社をはじめとするたくさんの方の協力を得て、
彼女の人生を巡る展覧会として今回実現したのが
メアリーブレア展です。
展覧会には膨大な作品群の中から精選した約500点の作品に加え、
様々な写真、愛用品が展示され所々で映像ビデオが流れていました。
年代順に並べられた作品を通して彼女のクリエーターとしての姿や妻、母として
過ごした一面もかいま見られるような構成になっていました。
メアリー・ブレア(1911年-1978年)は米国オクラホマ州で生まれ、
大学在学中に水彩画家としてそのキャリアをスタート。
卒業後は世界恐慌のあおりを受け思ったような仕事につけず幾つかのアニメーショ
ンスタジオを経て1939年にウォルト・ディズニー社に入社しました。
ウォルト・ディズニーの厚い信頼の元、
「シンデレラ」(1950)「ふしぎの国のアリス」(1951)「ピーター・パン」(1953)
のコンセプトアートを手がけます。
私は、今回初めて知ったのですが
「コンセプトアート」とは制作過程で作品を方向づけるために生みだされた
アイデアスケッチのようなものなのだそうです。
アイデアスケッチなので鉛筆の跡が残っていたりラフな仕上がりの物が多いので
すが
一枚の絵の中にアニメーションに登場する人物の表情、スタイルから衣装、
背景まで作品のトータルなイメージが描きこまれ
一枚が一枚がひとつの完成された作品のようにみえます。
原画を見ると水彩画であることから勢いのある筆遣いそのものまで感じられます。
その筆遣いは迷いがなくとても大胆なように見えます。・・・圧倒されます。
描かれた葉っぱの一枚までじっくり覗き込んでながめていたい・・
そう思いながら隣をみるとまた素晴らしい絵が・・・
デザインもそうなのですが、目を見張るのが、色彩の豊かさです。
明るくはじけるような鮮やかな色の組み合わせがあるかと思えば
濃く深い沈んだ色調で表現されたものもあります。
光と影が巧みに操られ独特の世界が作られています。
こんなにも美しく完成度の高いスケッチを土台にしてディズニーの作品が作られ
ていたんだなぁと改めて感動しました。
彼女が手がけたのはコンセプトアートなので彼女の絵が
直接映像に映し出されるわけではないので
今回、原画を見ることができたこの展覧会はとても貴重な機会だったと思います。
その後、彼女はフリーとなり絵本の挿絵、舞台のデザイン、
商品のパッケージデザインや広告の仕事しました。
水彩画、広告アート、絵本、グリーティングカード、息子達の肖像など
どの作品も同じ人が描いたの?と思うくらい画調が異なって見えます。
私がとくに好きだなぁ~と思ったのは民謡や童謡など子供の歌を集めた楽譜集の
挿絵です。
やわらかい色合いで描かれた可愛らしい絵・・
ながめているだけで幸せな気持になります。
アイスクリームのパッケージやグリーティングカードが展示されているコーナーでは、
「かわいい~~」と言う声があちらこちらから聞こえてきました。
ビンテージ絵本に詳しい方ならご存じのかたもいらっしゃるでしょう。
彼女が挿絵を担当した絵本「I CAN FLY」は、
日本語版「わたしはとべる」(翻訳 谷川俊太郎)にもなっています。
この絵本はジョン・F・ケネディ米国大統領(当時)の娘キャロラインのお気に
入りだったと紹介されていました。
再びウォルトディズニーからの依頼で「イッツ・ア・スモールワールド」のデザ
インを手がけたメアリー。
ひとつの施設を作り上げるのにここまで多くの絵を用意したのか・・・と
デザインや色のバリエーションの多さに驚かされます。・・ここもまた圧巻でした。
民族衣装を纏ったお人形の衣装の細部まで指示した
スケッチが残っているのもとても興味深かったです。
晩年の絵は、大胆なタッチのアクリル画が多くなります。
だんだんと異様な雰囲気の絵に変化しています。
メアリーの夫リー・ブレア、リーの兄プレストン・ブレア(共にディズニーで
「ファンタジア」などに関わったアーティスト)の描いた作品も展示されていました。
彼らの作品もまた美しく魅力的でした。
メアリー・ブレアは自信の才能だけでなく、彼女を取り巻く多くの才能に感化され
生かされていたのだなぁと思えるコーナーでした。
今回の展覧会、一日で見終わるのはもったいない~何回かに分けて見たい~
・・・そう思うほど見所が満載でした。
今後、日本国内で巡回の予定はないと聞いていますが
ぜひもう一度開催して欲しいと思いました。
場内は撮影禁止だったので皆さんにお見せできる写真は、撮影O.K.のコーナーの写真
に限られます。
おみやげに図録とポストカード、ポーチを買ってきました。
メアリーの絵に興味を持たれた方、
「メアリー・ブレア」で検索するとあちらこちらで彼女の作品画像が見られると
思います。
また、彼女の絵が挿絵になっている絵本がamazonでも見付けられると思います。
ぜひ検索してみてください。
こんな動画を見つけたので興味のある方はご覧になって下さいね。
by mint-a-la-mode
| 2009-10-12 23:36
| おでかけ